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 走りながら考える保険制度? 介護保険について

 一昨年、歯科医師会を通じ港区保健福祉部 介護保健課長より介護保険の今後について、港区の保険行政の現状とともにお話をお聞きしました。                                

 港区は、平成12年4月から介護保険事業計画に基づき、介護保険制度を運営しています。この計画は3年ごとに見直しを行うことになっており、現在おこなわれているサービスの実績や高齢者実態調査などを基に分析し、それを参考とした被保険者数、認定者数、利用者数、サービス供給量等を推測しサービスの充実や確保、介護環境の整備や今後の見込みなどを『第二期介護保険事業計画』としてまとめています。

 以前日本では戦後50年、福祉措置という形で介護政策がおこなわれていて、これは自己選択や自己決定がなくケースワーカーが行政処分を決定し、主に低所得者に手厚く利用されてきました。現在の日本では極めて早いスピードで高齢化の波が押し寄せています。60歳以上の人口比率が7%で高齢化社会、14%で高齢社会といわれていますが、高齢化社会から高齢社会までの推移はアメリカで70年、フランスで115年かかったところ日本では1970年から1995年までの僅か25年で到達してしまい現在も増え続けています。港区も例にもれず平成12年で17.7%、現在17.95%(3万人)、平成19年で19%、と右肩上がりで上昇すると予測され、要介護認定率もそれに伴い増加する見通しであります。そこで平成12年より利用者が自己選択や自己決定をもつ介護政策が、低所得者のみならず幅広く保険という形態でスタートしました。しかし走りながら考える保険制度と言われるように、今日的課題を沢山抱えています。例えば港区で特養ホーム入所待機者は現在700名でその内、要介護認定4〜5の方は150名程あり、保険なのに必要な時に使えません。また訪問看護、訪問リハビリテ−ション、通所リハビリテーションなどの医療系サービスの不足など、供給量的な問題から、サービスの利用方法が分からない、サービス事業者の情報を提供して欲しいなど利用者支援、相談のための情報提供サービスの不足、また保険料の額の不公平感などが上げられます。保険料に関して港区は全国平均を下回る徴集額で安定した運営をしているそうですが、区によっては予測の誤り等により、借金による不安定な運営を余儀無くされている所や7000円もの保険料が必要な地域などまさに道路一つ隔てて保険料額や低所得者対策に差が出てしまうといったナショナルスタンダードとは言い難い制度施行となっています。これらの状況を分析しより良い内容にしてゆくために見直しがおこなわれています。

 現在の日本の介護政策は要支援者に対して介護保険、自治体単位でおこなう老人保険事業、保健所の地域保険活動、民生委員やボランティアが参加した地域福祉活動など様々な形でおこなわれていますが、関わりが多いが故に難しい問題もあります。また港区が『第二期港区保険事業計画中間のまとめ』と題し、住民説明会を一昨年より10回開催しましたが参加者の合計は僅か80名(平均8名!)とお寒い事情です。問題意識はあっても直接関心をもたない区民のみなさんや私(達?)にも問題があると思います。私達の診療室にいらっしゃる患者さんはのほとんどは区外にお住まいですが、みなさん関心をお持ちですか?

 介護保険制度はまだ産声を上げたばかり。これから医療を提供する立場として、また一市民として暖かく育てていかなくてはいけないと思います。院長 吉野浩和

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